6/04/2014

チベットの仏像世界@龍谷ミュージアム

恥ずかしながら、チベットといえば、最高峰の山々のある秘境、ダライラマ14世がノーベル賞を受賞したこと、ブラッド・ピットの映画「チベットの7日間」、リチャード・ギアが信奉している。くらいしか知識がありませんでした。

 

いや〜予想以上にすごい展示でした

100年くらい前、西本願寺の宗主大谷光瑞の命でアジアにおける仏教伝播を調査するため ”大谷探検隊” が派遣されました。主な目的はシルクロード調査だったのに対し、当時未知の世界だったチベットにも探検隊が送られ、当時あまり注目されなかったのですが、 それが ”もう一つの探検隊” と言われ、今回のテーマになったようです。
チベットの仏像は日本と同じような名前がついていますが、姿形はずいぶん違っています。それは、チベットには、仏教が13世紀ころに衰退してしまったインドから、直接伝わったものがたくさん残っているからです。

千手観音菩薩立像(17世紀)図録より

派遣されたのは二人の青年僧侶、青木文教と多田等観で、当時チベットはイギリス、中国(清)ロシアの監視下にあったため、身分国籍を隠し、極秘に、辛苦の末にやっとの思いで入国しました。ダライラマ13世に会い、それぞれ別の所で数年間、修行しながら、チベット仏教の資料を集めたり親交を深めたりしたそうです。今回はその時に持ち帰った貴重な資料や北村美術館所有の仏像や曼荼羅などが数多く集められて展示されていました。

毘沙門天像(17世紀)図録より

獅子に乗って、左手にはマングーズを持っている!

 十一面大悲観音菩薩立像(14世紀)図録より

とってもきれい。あちらの十一面は3面3面3面1面1面と顔が上に積み上げられています。手の持物は消失?

文殊菩薩坐像(17世紀)図録より

この時代の仏像にはきれいな宝石が埋め込まれています

弥勒菩薩像(17世紀)図録より

穏やかな顔の日本の弥勒菩薩とはずいぶん違います、光背がすごい。


この他にもダライラマから贈られた貴重な釈尊絵伝23幅とか、絵、経典、仏具などどれも興味をそそられるものばかりで、見るのにたっぷり時間がかかりました。

いまだに国がない状況で、ダライラマ14世はインドに亡命政権を作って、国際社会に対してチベットの独立を働きかけています。欧米諸国も賛同はするものの、中国政府に遠慮して手をこまねいています。チベットの自然破壊や不幸がこれ以上進まないことを祈るばかりです。




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